NASサーバの導入目的として、社内の貴重なデータのバックアップを主な用途とされている企業が多いかと思います。安全に、かつ効率よくデータを保存するために、NASサーバは最適な手段の一つだからです。
ところで、データの更新を行うたびに、その都度NASにアクセスして保存していたのでは、あまり効率が良くありません。また、保存漏れがあった時に、データの消失や破損が起こってしまった際には復旧が難しくなってしまいます。そうならないために、自動バックアップを使用すると効率よくデータのバックアップが取れます。
今回の記事ではNASサーバのバックアップの種類と方式について解説します。
1、バックアップの主な種類
ビジネスで、データが破損、消失してしまった時のリスクに備えるため、最も効果的な方法はデータのバックアップを取ることです。特に近年は、NASサーバをデータのバックアップ先に設定している企業が増えています。
バックアップの取り方には、主に3つの種類があります。
イメージバックアップ
イメージバックアップとは、システムやハードディスクを丸ごとバックアップすることをいいます。作成されたファイルが、大きな一つのイメージファイルとして保存されます。
ハードディスクやシステムのデータを丸ごと保存するため、専用のソフトなどを用いて、包括的にバックアップを取ります。データを復旧させる場合は、イメージファイルごと、PCやデータベースに戻します。PCが起動しなくなってしまったり、データの多くが破損してしまったりした際に、元の状態に戻したいときに、イメージバックアップのデータを使用します。
データが大容量であることが多いので、ダウンロードに時間がかかってしまうケースが多いでしょう。
ファイル単位のバックアップ
ファイル単位のバックアップは、多くの方々にとってなじみのあるものだと思います。
ファイルとフォルダを定期的にNASサーバに保存する方法を取ります。その都度すべてのファイルを保存する場合と、更新があった箇所のみ保存する方法があります。変更箇所のみの保存の場合には、バックアップの量を減らすことで、処理にかかる時間を短くできます。
レプリケーション
レプリケーションとは、NASサーバのデータのバックアップを取るために、NASサーバを2台用意し、同じデータの複製(レプリカ)をつくることです。万が一、NASサーバにトラブルが生じても、2台同時に故障しない限りは、データが消失しません。したがって、業務への影響がほとんど生じさせないことが可能になります。
厳密にいえば、トラブル時に復旧させるためのバックアップと異なり、レプリケーションは複製なので、常にNAS間でデータをやり取りし、同じ状態になるようになっています。
2、バックアップ方法
バックアップを取る際の方法について紹介します。
フルバックアップ
バックアップ対象ファイル・フォルダのすべてのデータのバックアップを取ることをフルバックアップといいます。
データの上書きを行うので、確実にPCの最新の状態と同じデータのバックアップが取れます。
しかし、全てのデータのバックアップを毎回一からとるので、バックアップには時間がかかります。
増分バックアップ
前回のバックアップ時から更新・追加されたデータだけを上書き保存するのが増分バックアップです。
バックアップのデータ容量が最も少ないので、手軽にバックアップが取れます。
差分バックアップ
増分バックアップと少し似ていますが、差分バックアップは、フルバックアップを取った後に更新・追加されたデータについて、毎回上書き保存をするのが差分バックアップです。
バックアップ方式を組み合わせて、適切なスケジュールを
NASサーバの効率的なバックアップを考える際に、3つのバックアップ方式のどれが良い、というのではなくデータの重要性や更新頻度などに合わせて、それぞれをうまく組み合わせて活用していくことが重要です。バックアップについては、曜日や月ごとのスケジュールに基づいて自動的に作業をするように設定をしておけば、営業時間外の夜間などに自動的にバックアップを取るように設定しておくことができます。
データの容量が多い時には、イメージバックアップとファイルごとのバックアップを別の日程に設定してバックアップを取るなど、状況やデータ容量、機器の性能などに応じて対応を行いましょう。
3、まとめ
今回の記事では、NAS(ネットワークアタッチストレージ)サーバのデータバックアップの種類と方法について解説しています。
NASサーバのデータバックアップには3種類(イメージバックアップ・ファイル単位のバックアップ・レプリケーション)あります。特にレプリケーションに関しては、NASサーバのデータに万が一のトラブルがあった際の被害を考えるうえで非常に重要です。機密情報や個人情報に関するデータだけでも、レプリケーションを使用するのが望ましいでしょう。
バックアップ方式にも3種類(フルバックアップ・増分バックアップ・差分バックアップ)があります。用途に応じて、選んでいきましょう。